垂乳根日誌

読んだり書いたり育てたり。自分のための記録ですが、よければどうぞ。

4歳と33歳の葛藤

4歳お嬢が葛藤している。

昨年、坊の誕生によってこれまで一身に受けていた両親の愛情が分散され、

とかく手のかかる坊のほうに注意が向きがちだからだろう。

 

同時にわたしも葛藤している。

これまで右肩上がりにカワイイを更新していたわたしの赤ちゃんが

急にヒトになった。

弟に嫉妬し、親に理屈をこね、反抗的な態度で愛情をねだる。

ものすごく愛していることには変わらないが、

もはや単にかわいがって、自分の一部のように世話をする対象ではない。

衣食・排泄のほとんどを自立し、明確な意思と未熟な思惑をもつヒト。

 

朝、保育園に行く時間が迫っているのになかなか着替えないお嬢。

苛立ちをあらわにしてしまったわたしに臆することなく、

ソファに寝そべったまま挑発的と言ってもいい態度で

着替えさせろと要求する。

自分でしなさいとつい冷たく言いながら坊の着替えに取り掛かると、

「なんで!坊ちゃんだけずるい!ママは!ずるい!」

と泣き叫ぶ。

愛する我が子に大声で泣きながら「ずるい!」と糾弾されると

理不尽とわかっていても堪える。

同時に、ものすごく求められているのにやっと気づいて

素直に嬢の着替えも手伝う。

どうせ手伝うなら、断らずに最初から手伝えばよかったといつも思う。

 

 

〈ひと〉の現象学 (ちくま学芸文庫)

〈ひと〉の現象学 (ちくま学芸文庫)

 

 

 

産後、本が読めないと言いながらも

大学受験なんかで慣れ親しんだ鷲田さんなら少しくらいは、

と期待して読んだが目が滑る滑る。ほとんど理解できず。

しかし、〈家族〉の章は興味深く読んだ。

 

p.95----------------------------------------------------------------------------

引き剥がしの経験は、多くのばあい、

次子の誕生によってより強くうながされるだろう。

きょうだいの存在はたぶん憎しみからはじまるのだろう。

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「引き剥がし」というのは母子の引き剥がしだ。

坊の誕生と前後して、わたしと嬢は引き剥がしを経験しているのだな。

たしかに、嬢の葛藤にはやり場のない憎しみのようなものが

含まれているのかもしれない。

ほとんど自分の一部だった嬢が相対化されていくことが

さびしくもあり、頼もしくもあり。

そう、相対化されていく嬢のことを楽しみだと思えることに少し安堵する。

母は憎しみごと全部引き受けて、圧倒的に愛したい。