垂乳根日誌

読んだり書いたり育てたり。自分のための記録ですが、よければどうぞ。

ちっさい魔女の話

「ちっさい魔女の話がみたい」と嬢が言う。何かと思ったらジブリの『魔女の宅急便』だった。主人公はあなたよりずっと大きいから、母はすぐにはわからなかったよ。

 

 

魔女の宅急便 [DVD]

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  • 発売日: 2014/07/16
  • メディア: DVD
 

 

 

夫と些細なことで言い合いになって、話し合いの下手な夫がいつも通り無理やり話を切り上げようとしたと思ったら、寝室に向かう前にイタチの最後っ屁のように「子どもたちにイライラするというより、子どもたちにイライラする君にイライラする」と言われた。「どこの家庭でもそうだと思うけど」と枕詞がついていた。

 

我が家は家事育児を夫婦でうまく分担しているほうだとは思う。でも、子どもが「ママ―!」と呼びつける回数はパパが呼ばれる回数の何倍、いや何十倍で、献立を考えたり、季節の洋服を揃えたり、坊の成長に合わせて離乳食を加減したりする日々の細々とした調整仕事はほとんど私が担っていて、コロナ自粛では育休中の私が基本ワンオペで、それでも子どもたちが楽しく過ごせるようにと工夫して心配りをしてきたというのに!夕食から風呂までのツーオペタイムでさえ時折イラついているあなたに、私のイライラがわかるか。そりゃ配偶者がイライラしているのは嫌だろうけれど、思いを汲んで努力をたたえたり、励ましてくれたりしてもいいんじゃないか。大変立腹し、2日経った今でも少し怒っている。

 

しかし、怒りとは別に、私は私のイライラを正当化しすぎていると感じたのも事実。育児のストレスは巷でも認知され、難しい時期の4歳児と手のかかる0歳児を抱えていたら私はイライラして当然、それを家庭の中で多少表出させても、家族がそれで嫌な思いをしても仕方ないと。私は悪くない、今はだれもが大変な時だもの、悪いのは私が思うとおりに行動しない夫だと。

 

さて、仮に私が夫の立場だとすると、不機嫌で人を支配するような行いには即激怒して改めさせるだろう。4年前に嬢を生んで、自分には自由がなく、夫の方にある程度の自由が残されている状況に猛烈な不満を覚え、夫と話し合いを尽くして家事と育児を分担できるところまでこぎつけた過程で、不機嫌であることに麻痺してしまった感がある。心の中では半分くらいは、仕方ないよ、大変な毎日をそれでもよりよくあろうとして何とかこなしてきたんだから、と思っているが、かと言ってずっとこのままだと困るような。これ、治るんだろうか。

 

イライラを指摘されてから、少しイライラの閾値をあげるように意識している。そして、嬢と坊に対しては思いのほかうまくいっている。偶然かもしれないけれど、今日嬢が何かに無邪気に喜んでいるときに、坊を生んで以来初めて「子どもらしくてかわいい」と猛烈に感じた。坊が生まれてから、4歳の嬢が大人に見えていた。半年ぶりに、嬢を嬢として素直に見られたのではないか。

 

イライラしない母なんていないと断言できるし、もしいたとしても自分はその器ではないが、時には『魔女の宅急便』のオソノさんのようにおおらかな気持ちで暮らしてもいいのではないか。おちょこのような自分の器量が、少しは大きくなることを願う。