垂乳根日誌

読んだり書いたり育てたり。自分のための記録ですが、よければどうぞ。

掻把手術後の気持ち

術後の調子はよい。心配していた子宮収縮の痛みもなく(収縮しているか心配ではある)、子宮収縮剤の副作用も特に感じない。つわりもおさまったようで、約ひと月ぶりに吐き気のない生活。出血も生理終わりかけくらい。

 

手術で興奮したのか、当日は夜中まで眠れなかった。頭は冴えて、体もすごく元気で、非妊娠ってこんな感じだっけ?と驚く。

 

胎児を喪った悲しみ、というのはうまく言い表せない。巷のSNSでは「天使」「お空に還った」「またママのおなかに戻っておいで」みたいな言い方で、オブラートに包みつつも、悲しみと愛情が書き表される。「一度は心臓が脈打った、わたしの赤ちゃん」が死んでしまったと考えると胸が苦しくなる。

 

しかし一方で、ごくごく初期の流産は自然に起こる現象で、いわゆる自然淘汰というのも事実。受精卵の何割かは染色体の異常で育たない。たまたま心拍確認後に流れたけれど、心拍確認前の化学流産も含めると、10~15%の受精卵は流産になり、誰にでも起こりえることだ。

 

わたしの好きな作家が言っていた、わたしたちが死者にしてあげられるほとんど唯一のことは、忘れないで覚えていること、という考えにとても共感する。センチメンタルにはならないけれど、忘れず、ずっと背負っていくことになる。

 

同時に、無事に生まれてきた長女が一層いとおしくなる。元気に育ってほしい。そしてまた新しい命を迎えたい。ぜひ迎えたい。

 

とりあえずいまは、家族旅行の事を考えたり、食べたいものを食べたり、楽しいことを考えて過ごそうと思う。

流産~掻把手術の記録

手術の日。

病院からは何も説明がなかったが、いろいろな体験談を読んで以下を準備。

 

・水・ウィダーインゼリー持参

・ナプキンと生理用ショーツ持参

・携帯の充電器持参

・結婚指輪を外す

・化粧はしない

・前日夕食後は何も食べない

・水もごくごくは飲まない

 

病院からは、手術当日の診察後にぺらっと紙を渡されて、それに持ち物と飲食の制限等が書いてあった。もちろん本当に気になったら電話して確かめるからいいんだけど、その注意書き、前回欲しかったです。

 

さて、朝いちばんの予約で内診して、やはり心拍なし。大きさも成長なし。ちょっと赤ちゃんの影もぼやけてきたし、出血も始まっているね、本日処置をしましょう、とのこと。やはり1週間の時間があったのはありがたく、冷静に対応できる。

そのまま内診台でラミセル挿入。

「激痛!!」~「ぜんぜん何も感じなかった」まで個人差が大きいこの処置、わたしは人並みに痛くて滝汗。まず、膣内を何かの器具でつままれた時点で、かなり痛い。そして、奥の方の粘膜ぽいところを細くて硬いものでグッと突かれてものすごい不快感。「痛い~」と声が出て、「ふ~~~」と呼吸で痛みを逃すほど痛い。「あっ失敗した」「ちょっと(子宮の?)屈曲が強い・・・」と女医。結局通常の太さのラミセルとラミナリアで失敗し、極細のラミセルを入れることができたとのこと。極細?それで手術は大丈夫なのか?と確認すると、大丈夫よ~と看護師がライトに返事をしてくれる。では最初から極細でよいのでは、と頭をかすめる。入れたあとはほんのわずかな違和感のみで、痛みなし。13時に戻ってくるように言われて放免される。患者図書館で高山なおみさんの『日々ごはん』を読んで時間をつぶす。手塚治虫の『火の鳥』も読みたかったけど、麻酔で悪夢を見たらいやなので、やめておく。

 

13時、外来に戻るとベッドに寝かしてもらえて、点滴ルートをとるとのこと。年配の看護師二人が「え、わたしがルートとるの?」「大丈夫、わたしサポートするから」と会話をしている。もちろん慣れた人にしてほしい、でも小心者なので言えない。自信なさそうな看護師、何とか一発で入れてくれたので結果オーライ。血管を探している間に結構出血したみたいだが、術衣なんかで死角になったままさっさと拭かれ、なかったことになる。

 

夫が職場を早退して到着。別に立ち合いはなくても、と思っていたが、安堵感でちょっと泣きそうになる。女医、13時をすぎても外来対応。わたしが寝かされている部屋は、外来の横の処置室みたいなところで、診察の様子がわかってしまう。一段落ついた様子の頃、「〇〇さんまだ来ない?じゃ、アウスさきにやっちゃおっかな~。うん、その気になってきた!」と女医。看護師と話している様子。すぐにググって、「アウス=掻把手術」だと知る。うん、ぜひ気乗りしてやっていただきたい。

 

そこに若い女性のスタッフ(女医2)が入ってきたようで「◎◎先生、アウスやったことある?」と女医。「ありますよ」「じゃあ、今日もやってみよっか」みたいなライトな会話が交わされる。え、待って、そんな。慣れた人にしてほしい・・・がもちろん言えない。

 

手術室みたいなところに行くのかしら、と思っていたら、連れていかれたのは普通の内診台。心電図と、指先に酸素濃度調べる洗濯ばさみみたいなのをつける。「お酒強い?」と聞かれたので「弱くはない」と正直に答える。過少報告して麻酔きかなかったらヤだし。

 

外陰部を消毒され、痛み止めでーすと点滴から注射薬をいれる。腕がじんじん痛くなり、上半身が少し熱くなる。次に特に予告なく何かの薬を注入。意識を失う。

 

次に意識が戻ったのはさっきの処置室のベッド。意識は戻るが目を開けたくなくて少しまどろむ。夫に確かめると手術開始から「まだ30分もたっていない」とのこと。意識がめちゃくちゃはっきりしてくる。心配していた麻酔由来の吐き気もない。痛みや違和感もない。術後の検査のために採血をするというので、興味があったサイトメガロとトキソプラズマの抗体検査も一緒にしてほしいと頼む。女医快諾。

 

術後1時間ほどで歩いてトイレに行く。看護師に「痛かった?」と聞かれたので「まったく痛くなかったが??」と返事。「もしかして、わたし暴れましたか??」と心配して尋ねると、暴れてはいないけれどすごく唸っていたとのこと。廊下で待っていた夫にも唸り声が聞こえたらしい。吠えているような声で、だれかわからなかったと。痛みの記憶はまったくないが、動いたりして看護師に手間をかけたのかしらと申し訳なくなる。

 

手術から2時間後に、再度内診してもらって終了。会計は20000円。薬は抗菌薬と子宮収縮剤で700円ほど。

稽留流産の記録

【2人目妊娠】

 

生理が遅れて自宅で検査薬⇒陽性反応で妊娠発覚。

タイミングを合わせた記憶はなく、というかどちからというと外していたのでびっくり。最終生理日から計算すると6週くらい。しかし長女の授乳をやめてから半年程度のため月経周期にばらつきがあり、あてにならない。受精のタイミングも、普段は性交をアプリに記録しているが、今回に限って「あ、記録忘れた~このあたりだっけ」と後日だいたいの日付で入力した記憶があり、あてにならない。

 

【7週:初回通院】

 

長女は個人の産婦人科で産んだが、今回は総合病院で産みたいと考える。前回は主治医ともちょっと合わなかったし、出産後にやっと出産ってリスキーと理解したので。長女は医者もびっくりするほどの安産だったんだけれど。

 

総合病院の初診料を回避すべく、手近なクリニックに通院。産科のある病院に他院紹介をお願いすることにちょっと気後れして、産科がない病院を受診した。

 

エコーで心拍確認。ドコンドコンと力強い心拍が聞こえる。

最終月経から計算すると7週だが、胎嚢2.6cm、胎児4.6mmと素人計算でもかなり小さい。小さいが、正常な妊娠か?と質問するが、排卵のタイミングが計算と違ったのかもしれない、現時点では異常といえる所見はないとの回答。希望通り、総合病院の紹介状をもらう。

 

つわりは軽度の食べづわり。前回は吐きつわりで1か月休職したので、このまま軽く済んでくれと祈る日々。

 

【8週:2回目通院】

 

総合病院を受診。小柄な女医が「予定日決められるかな~」とエコーを入れてくれるが、沈黙。しばらくしてカーテンを開けエコー画面を見せてくれる。心拍がないし、胎児の大きさもかなり小さい、育っていない可能性があるとのこと。自分でも心配してネガティブなことも想定していたが、やはりショックで茫然。

 

内診後、1週間経過を見ましょう、と言ってくれる。「でも、前回心拍があったのに今回はないということは・・・」と質問したら、「うん、確かに、今回は厳しいかも」とのこと。生殺し状態は嫌なので、はっきり言ってくれて助かった。手術の予約をとって退出。

 

夫に電話して、さすがにちょっと泣く。

夫はわたしが泣いているのにびびったか、本当にドライなのか「仕方ないやん」とぶっきらぼう。初期の流産だし、確かに生命体を腹に宿してホルモン暴走している当の本人と、それを傍で見ている他人とでは受け取り方が違うのかもな。何回目の妊娠か、上の子がいるか、妊娠にどのくらい思い入れがあるかで、夫婦によっても全然違うだろうな。

母にはメールで、義母には夫から伝える。

 

軽いつわりが続く状態で1週間、普通に通勤。チームの人には婦人科系の手術をする、命にはかかわらないとだけ伝えて手術日の休みを取る。心拍復活しないかな、と1%くらいは諦めきれない。何というか「赤ちゃんを喪った」という考え方をすると果てしなくつらくなりそうなので、「初期の流産は15%程度の確率で起こり、母体よりは胎児側の染色体の異常が多い」という事象のみ淡々と受け入れた。

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